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お腹が弱い人の日記ブログ(゜ワ゜*)
No.
2024/09/21 (Sat) 15:48:19

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No.371
2009/03/02 (Mon) 00:51:49

とあるできごと。

私は牛挽き肉400gを求め、
近所のスーパーまでくりだしたのだが、

今日に限って挽き肉は売り切れていて、
結局少し距離のあるスーパーまで歩いたのだった。

スーパー内部の精肉店。

合い挽きの方が美味しいかなんて
考えながら品定めをしていると、
熱心にこちらに視線を送ってくる精肉店店員に気づく。

髪の毛は繰り返しブリーチしたんだろう、
バサバサで傷みが酷い、オレンジ。
化粧は妙に目の周りだけ気合の入っていた。
若干パンダである。

それに店の制服を着ているんだから、
かなりの違和感を感じた。

まあ言ってしまえばイマドキの女の子。

視線が痛く気まずかったので、
早いところ用事を済ませてしまおう思った。

なるべくそちらを見ないで、
「牛挽き肉を400g」と口早に告げる。
すぐに愛想の良い返事が降ってくる。

「401gいかがでしょうか」

これも、店員を見ないように
量りのメモリだけ見ることに集中した。

包装紙の有無も聞かれた。
それにもそっけなく返事を返す。

彼女の手からそのまま袋に入った挽き肉を受け取る。
やっと気まずい視線から開放されると思っていた。
しかし、逃げるようにレジに向かおうとした私に、彼女は言った。

「ねェ、同じ小学校だったよね?」

**

そこから彼女はマシンガンのように話し始めた。

絶対そうだと思ったの、
中学も同じだったよ、
まあ私いっこ上なんだけどね、
少しも変わってないね、
だからわかったの
学校行ってるの?
ちゃんと卒業しなよ

そんなことをこちらが相槌をうつ暇も与えず、
怒濤の勢いで並べ立ててきた。

たまに質問が来るので、
そのときに喋らせてもらえるくらい。

いっこ上、ってところで
忘れかけていた敬語に慌てて切り替えたものの、
暫く使ってなかったせいでボロがですぎた。

**

帰り道、頭の中をずっとリピートしていた。

彼女のネームプレートにあった、
4文字のひらがな。

ずっと配列が変わっては元に戻ったり。
ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐ

そう、あの人が誰かわからないのだ。
あんな顔、たくさん出会ってきたもの。

**

坂道を下りはじめたころ。

ふと、
小学生のときいじめられていたことを思い出した。

同い年の他の子よりも、頭ひとつ出ていた私。
それが理由で上級生によくいじめられていた。

帰り道のたび、いじめられていた。
突き飛ばされたり、石をぶつけられたり。

そうして思い出すのは、

少し色黒で

私より小さくて

ああ、意地の悪い、大嫌いだった、
あの、赤いランドセル。


そうか、あの人は。

あの頃の私がまだ私の中に生きていたのなら、
きっと精肉店でミンチにしてやりたいほど、腹が立っただろう。
あの人のせいで、後も色々損なったものはあったのだ。

けど、もうあの頃の私はいなかった。

いつか殺してやろうと思っていた。
そんな激しい憎悪もいつの間にか消化されていた。

あの人の中には、私はどう生きていたんだろう。
私の中ではもうほとんど息をしていない。


あー、明日美味しいハンバーグが作れると良いわ。
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